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my denim style is ...

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Feb.20.2020

no9

Tsuyoshi Nimura

“ラングラーを愛した
ジョン・レノンに憧れて”

Photo  Reiko Toyama
Interview & Text  Takayasu Yamada (THOUSAND)

main visual

ファッションの中で、もっとも定番的と言えるデニムアイテム。
日常的にファッションスタイルに取り入れている人も多いのではないか。
この連載企画では、スタイルを持った人物にラングラーを着てもらい取材。
その人ならではの自由なデニムスタイルを知り、普遍的であるデニムアイテムとの付き合い方を改めて考えたい。
9回目となる今回は、スタイリストの二村毅さんが登場。

数多のファッション雑誌や広告、俳優、ミュージシャンなど、スタイリストとして長年手腕を振るい続ける二村毅さん。
ファッション以外でも音楽やアートを中心とした様々な文化への造詣が深く、その英知を自身の仕事へと落とし込む姿勢に業界内でも評価が高く、支持者が多い。

そんな二村さんとラングラーの接点は、彼が敬愛するミュージシャン“ジョン・レノン”であろう。音楽や考え方、ファッションスタイルにおいても、若い頃にジョン・レノンから影響を受けたことを公言する二村さん。ラングラーを着るきっかけもやはりジョン・レノンにあったようだ。

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ジョン・レノンを知りラングラーに興味を持ったきっかけを教えてください。

スタイリストとして働き出した20代の頃、ビートルズを聴き始め、中でもジョン・レノンの格好良さに影響を受けました。その後、ロックンロール・サーカス(※1)を観て、出演していたジョンの格好がデニムのジャケットにパンツ。そのスタイルが格好良いなと思いましたね。デニムパンツはバックポケットが映像に映っていないこともあり、明確に何のブランドを履いていたかわからないのですが、ジャケットはラングラーの“111M-J”というモデルということを後に知りました。

※1
1968年にローリング・ストーンズが企画し、ジョン・レノン、エリック・クラプトン、ザ・フーといった面々が出演したTVショー。監督はビートルズのドキュメンタリー映画“レット・イット・ビー”で知られるマイケル・リンゼイ・ホッグ。しかし、出演者側の諸事情により1996年まで放映されずお蔵入りになっていたという伝説的な映像作品となっている。

ジョン・レノンは晩年までラングラーを好んで着ていたようですね。

ビートルズの歴史の中で、ご存知の通りアイドルっぽい格好の時期やサイケな時期など様々なスタイルがあるのですが、1968年にリリースした“White Album(ホワイト・アルバム)”の頃は、ジョンの格好もすごく渋くなってくるんですよね。“Instant Karma!(インスタント・カーマ)”のPVでは、111M-Jを自分でリメイクしてパッチをつけていたり、70年代の写真では124M-Jに自分でファーをつけて着たりもしています。そのロックンロール・サーカスは、30年近くお蔵入りになってしまうんですが、ジョンがラングラーを着ている姿を確認できるのは、この時が一番最初なんじゃないかなと思います。人々の前に出る時だけではなく、レコーディングの風景写真にもラングラーを着たジョンが映っていたりもします。ヘンリーネックに白いパンツを履いてラングラーのGジャン。そんな格好もジョンの60年代後期に印象的でした。

ジョン・レノンから影響を受けて、二村さんも当時からデニムジャケットを着たりしましたか?

一番ハマっていた20代の時期は、デニムジャケットにフレアパンツといったコーディネートを好んで着ていました。ですがそれは、他のブランドでしたね。ジョンのデニムがラングラーだったと知った時は、同じモデルを探していましたが、当時はヴィンテージも珍しく、良い1着に巡り会えないままでした。だから、今日着ている11M-J(ジョン・レノンがロックンロール・サーカスで着ていた111M-Jのプロトタイプ)は、無駄なディテールがなくシンプルで気に入っていて、これから着込んで味を出していきたいと思います。
また、ラングラーで思い出に残っているのは、いまだに大事に持っているウェスタンシャツ。これは、僕が25歳くらいの時、雑誌の企画でデニス・ホッパーを撮影したことがあるんです。その時に着ていたのがこのシャツで、撮影後にデニス・ホッパーのサインを裏に書いてもらいました。その時の僕の写真も大切に残していますが、この頃は古着ばかりを着ていましたね。

photo 2

二村さんとは長くお仕事をご一緒させて頂いているのでわかりますが、一度気分にハマった格好を毎日のようにしていますよね。

気分に合う格好に落ち着くと、ある程度の期間ずっとその格好ばかりしていますね。スタイリストなので、相手の服選びのことを考えていたら、どうしても自分の格好は後回しになってしまう。今の時代、本当はもっと前に出る格好をしても良いんでしょうけど、自分はどうしても後ろ向き。多分、人の服のことを考えている方が楽しい性分なんです。
“The White Album”は、ビートルズの中でも最も僕が影響を受けたアルバムですが、シンプルであることの重要さをここから学びました。シンプルだからこそ、小さな1つ1つがとても大切。それは僕の仕事もそうで、迷ったらたまに聴くようにしているんです。
昔、兄から貰ったビートルズの古本に、メンバーの好きなものがアンケートのように書いてあるページがあって、そこに好きな洋服について書く欄があったんです。そこにジョンは“地味なもの”って書いていた。そういった繊細な部分に僕は影響を受けてきましたね。

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今だとどういうファッションスタイルが二村さんは気分ですか?

最近また気分が、ヘリテージに戻ってきているんです。ここ数年は、テクニカルで軽い服を着ることも多かったのですが、しっかりとした作りの服が愛情を持てて良いなと再認識しているところです。携帯電話がない時代の服というか(笑)。人間味が出る服を求めていたり。なんかまたそういうものが良いと思っているんです。映画も最近昔のものを観ることが多くなったし、それを自分のビジュアル作りでも落とし込めたらと思っているところです。最近また、ヴィンテージのラングラーで124M-Jも手に入れました。基本的には濃い色のGジャンが好きなんですが、この薄い色も良いなと思ってます。デニムのセットアップって、テーラードスーツの反対側みたいなもの。これはこれでスーツを着るような格好良さがあると思うんです。

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Wrangler 11M-J PROTO MODEL ¥33,000

profile photo

Tsuyoshi Nimura (Stylist)

1970年生まれ。20代より様々なファッション雑誌や広告、アーティストのスタイリングを手がけるほか、モノ選びの視点が買われ、セレクトショップのディレクションなども行う。

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